2026年5月、大西洋を航行中のクルーズ船においてハンタウイルスの集団感染が報告されました。日本では馴染みの薄い病名ですが、海外渡航や物流を通じたリスクについて、最新情報と具体的な対策を解説します。
クルーズ船での発生と日本国内の現状
現在、南米から欧州へ向かっていたクルーズ船「MVホンディウス号」において、ハンタウイルスによる死者を含む集団感染が確認されています。原因は南米に生息するネズミが媒介する「アンデスウイルス」とみられ、世界保健機関(WHO)が状況を注視しています。
一方、日本の厚生労働省は5月6日、「国内で感染が拡大する可能性は極めて低い」との見解を公表しました。理由は以下の通りです。
●媒介動物の不在
日本国内には、このウイルスを保有するタイプのネズミが生息していません。
●限定的な感染経路
基本的にはネズミの排泄物から感染するものであり、ヒトからヒトへの感染は極めて稀です。
日本では1984年以降、国内での発生報告はありません。過度に恐れる必要はありませんが、流行地域(南北アメリカやユーラシア大陸の一部)への渡航を予定している方は注意が必要です。
推奨される対策と行動指針
ハンタウイルスは、ウイルスを持つネズミの尿や糞、唾液に直接触れたり、それらが混じった「ほこり」を吸い込んだりすることで感染します。以下の対策を心がけてください。
●海外の流行地域ではネズミに近づかない
キャンプやハイキングの際、ネズミの通り道や糞がある場所での休憩・宿泊は避けましょう。
●清掃時の注意
ネズミの排泄物がある場所を掃除する場合、乾燥した埃を舞い上げないよう、市販の消毒液や漂白剤で湿らせてから、マスクと手袋を着用して拭き取ってください。
●帰国時の体調確認
流行地域から帰国後、1〜8週間以内に急な発熱、頭痛、筋肉痛、激しい呼吸困難が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、渡航歴を伝えてください。
【出典・参考リンク】
・「国外航行中のクルーズ船におけるハンタウイルス感染症事例について」の報道発表資料を掲載しました(厚生労働省)[170KB]
・Hantavirus cluster linked to cruise ship travel(WHO、2026/05/04)